最近、AWSは、Amazon FinSpaceと呼ばれる金融サービス業界（FSI）向けのデータ管理および分析ソリューションを発表した。このサービスは、金融アナリストが分析のためにあらゆる種類の財務データを見つけてアクセスするのにかかる時間を短縮することを目的としている。
Amazon FinSpaceのリリースにより、同社はヘッジファンドや資産運用会社などのFSI企業の金融アナリストを対象としたマネージドサービスを提供する。このサービスにより、大規模な財務データの保存、カタログ化、準備が簡単に行えるようになる。これにより、注文管理システム、ポートフォリオ管理システムなどの内部ソース、およびジョブ統計や収益レポートなどのサードパーティデータを含む、アクセス可能なすべてのデータに対してオンデマンドで分析を実行できる。
Amazon FinSpaceのAWSプレスリリースで、AWSの金融サービステクノロジー担当副社長であるSaman Michael Far氏は次のように述べている。
FSI組織は大量のデータを生成して購入しますが、分析用のデータを収集して準備するのに時間と労力がかかるため、このデータを使用することは非常に困難です。Amazon FinSpaceは、FSI組織にとって画期的な製品です。Amazon FinSpaceは、FSIの顧客がペタバイトのデータを横断して分析を行うのにかかる時間を大幅に短縮します。そのため、新しい収入源を特定し、顧客を惹きつけ、コストとリスクを削減することがとても簡単になります。
AWS Financial Analystsの主なディベロッパーアドボケートであるSébastien Stormacq氏のAWS Newsのブログ投稿によると、時系列データ用の100を超える特殊な関数の組み込みライブラリの恩恵を受け、統合されたJupyterノートブックを活用してデータを使った実験ができる。そして、これらの財務データ変換を、動的にスケールされるSparkクラスターを使って並列処理できる。さらに、FinSpaceに含まれているフレームワークを活用して、データアクセスを管理し、誰がいつどのデータにアクセスしているかを監査できる。データ使用量を追跡し、コンプライアンスレポートと監査レポートを生成する。
出典: https://docs.aws.amazon.com/finspace/latest/userguide/finspace-what-is.html
AWSに加えて、競合他社のMicrosoftもクラウドで金融サービスを提供している。Microsoft Cloud for Financial Servicesは、新しい業界固有のクラウド製品の1つである。これによってMicrosoftソリューション、独自のテンプレート、API、業界固有の標準を統合しており、それに加えて、複数のレイヤのセキュリティとコンプライアンスをカバーしている。
Constellation Research Inc.の主席アナリスト兼副社長であるHolger Mueller氏は、InfoQに次のように語っている。
AWS Finspace製品は、市場における2つの主要なトレンドを示しています。1つは、垂直ソリューションの推進が2021年も続いており、おそらくさらに続くでしょう。一方、AWSは現在、金融サービスベンダー向けのデータおよび分析管理プラットフォームなど、より高レベルに集約された製品を開発しています。これは、AWSの基盤となるサービスの成熟度と、より高レベルのオファリングの価値を示している。各金融サービスの顧客が重要なAWSサービスを組み合わせるのではなく、AWSが組み合わせたサービスを提供します。
さらに、Duckbill GroupのチーフクラウドエコノミストであるCorey Quinn氏は、Amazon FinSpaceについて次のようにツイートした。
これは魅力的なリリースです。特定の業界セグメントに明確に焦点を当てているからです（確かに、広大で収益性の高いものです。この分野で働いたことがなければ、過小評価することは許容されます）。これは、一部の顧客を非常に明確にターゲットとしており、他はターゲットとしていません。
最後に、Amazon FinSpaceは現在、米国東部（バージニア北部）、米国東部（オハイオ）、米国西部（オレゴン）、EU（アイルランド）、カナダ（中央）のAWSリージョンで利用できる。 FinSpaceの価格は、保存されているデータの量、有効になっているユーザー、およびそのデータの処理と分析に使用される計算量に基づいている。正確な価格の詳細は、価格ページで確認できる。