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最高のクロスプラットフォームを自称するGoogleのUIツールキットFlutter 2.2

原文(投稿日:2021/06/21)へのリンク

先日のGoogle I/OカンファレンスでGoogleは、クロスプラットフォームUIツールキットFlutterのバージョン2.2を発表した。ある調査によると、Flutterは現在、最も人気のクロスプラットフォームオプションである。今回のリリースは、問題の修正、パフォーマンスの最適化、既存機能の洗練化に集中したものだ。Microsoft、Samsung、Adobe、Sony、Ubuntu Linuxはすべて、自社のFlutterサポートを強化した。

GoogleはSlashDataの"Mobile Developer Population Forecast 2021"を参照して、現時点で開発者の45パーセントがFlutterを選択しており、さらに毎年47パーセント増加している、と述べている。この結果、Flutterは、最もポピュラーなクロスプラットフォームUIツールキットになったのだ。

さらにGoogleは、Play Store内の200,000アプリケーションがFlutterで開発されていることも発表した。この数は2020年末よりも50,000多く、2019年12月時点との比較では440パーセント増加している。その一方で、同じ16か月間にGoogleが開発したFlutterアプリの数は、"20以上"から"30を越える"へと、わずか50パーセント増加したに過ぎなかった。対照的にGoogleのAngularアプリケーションは、2019年2月から2021年4月までの27か月間で"600強"から"2,600~2,700"に、430パーセント増加したことを、Google Developer AdvocateのEmma Twersky氏が、こちらのポッドキャスト(28分35秒)で説明している。

Flutterのエコシステムも拡大した — まずMicrosoftが、同社のUniversal Windows Platform(UWP) UIツールキット上で動作するFlutter Desktopのアルファ版をリリースした。LinuxやTizen上でも注目を集めており、Sonyを中心として組み込みLinuxへの移植が行われている他、4月にはUnuntu LinuxによるFlutter SDKの提供も開始された。また、Samsungは、同社のオペレーティングシステムであるTizenを使用するスマートウォッチ、TV、IoTデバイスにFlutterを移植している。さらにAdobeは、Flutterアプリケーションを生成するUIデザインツールXD用のプラグインをアップデートした

Flutter 2.2の最適化の一部として、Googleは、サービスワーカ経由のバックグラウンドキャッシングをWebアプリに追加した。Android版アプリでは、コードやリソースをオンザフライでダウンロードする遅延コンポーネントがサポートされた。また、iOSアニメーションでは、最初に使用する時の途切れ(いわゆるジャンク)が少なくなった。さらにFlutterチームは、この6か月間で、重大な問題に対するターンアラウンド時間を半減し、新たな問題が発生するより早いペースでイシューのクローズを続けている(本記事の執筆時点)。

今年3月のFlutter 2では、適切なnull安全性を備えたDart 2.12が提供された。Flutterプラグインリポジトリにあるトップ1,000パッケージの80パーセント以上は、すでにnull安全性への移行を完了している。この数値がGoogleにとって、新たなFlutterプロジェクトにおいてnull安全性をデフォルトにしたことの根拠となっている。

Flutter 2.2の構築基盤であるDart 2.13では、インライン配列パック構造体をサポートすることで、ネイティブCコードとの通信が改善された。タイプエイリアス(type alias)も追加されている。

typedef Integer = int;

void main() {
  print(int == Integer); // true
}

GoogleはGoogle AdMobアプリ内購入(in-app purchases)用のFlutterプラグインをアップデートし、プロダクション品質とした。また、Apple PayGoogle Payを使用する支払プラグイン(payment plugin)が新たに追加されている。今年後半のリリースには、新しいaterial Youデザインシステムの完全な実装の提供が予定されている

それ自体Flutter WebアプリであるDart DevToolsでは、オブジェクトのアロケーション時にメモリタイムラインへのカスタムイベントの挿入が可能になり、サードパーティ製のツールエクステンションがサポートされた。

既存のネイティブなiOSおよびAndroidアプリにFlutter UIを追加することも可能になった。Googleはサンプルとして、"世界最大の多目的メッセージング、ソーシャルメディア、およびペイメントアプリ"のWeChatを提供した。ビデオエディタと仮想カンファレンスのサポートがFlutterを使って開発されている

Googleは、Dartをサーバ側のコードでも使用できることを強調している。DartはDockerイメージサーバレスフレームワークとしても使用可能で、HTTP要求とCloudEventsの両方を処理する。

Google I/Oでは、Flutterに関するビデオの他、6件のFlutterセッション、5つのワークショップ、2つの"Ask me anything"イベントが提供されている。

Google I/Oから間もなく、Google Nest Hubにおいて、機能ベースのOSであるFuchsiaがデビューした。Fuchsiaでは、UIツールキットとしてFlutterを使用する。

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