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Covid-19からDevOpsが学んだこと

原文(投稿日:2021/07/08)へのリンク

パンデミックへの対応は、人々がハイブリッドな環境において、いかに生産性を確保し続けられるかを示してみせた。それはすべて、2020年3月以降に私たちが学んだものだ、とMatteo Emili氏は主張する。世界中に分散した人たちにも包括的かつ生産的な業務が可能であることを、たくさんの組織が実証してみせたのだ。

Avanade UK & Irelandでソフトウエアエンジニアリングのグループマネージャを務めるMatteo Emili氏はDevOpsCon Berlin 2021で講演し、企業のCovid-19への対応から自身が学んだことについて発表した。

Covid-19パンデミックの初期において企業が取り組まなければならなかった課題は、リモートプレゼンスという新たな世界への対応、フレキシブルなタイミング、さらにはオンラインに限定された世界において、人々が単にこれまでと同じ行動やパターンを実行するのではなく、エンパワーメントを求めていることの認識だった、とEmili氏は説明する。

私たちはしばらくの間、本格的な緊急体制(自宅で仕事をするということは、結局は、リモートで仕事をすることと同じではありません。ほとんどの人が、必要な機器を持っていなかったからです!)で仕事をすることになり、これまで経験したことのない状況への対応を余儀なくされました。子供の世話、リモートラーニング、ひとつのリビングルームでふたりが仕事すること — これらはすべて、2020年以前には経験したことのないものでしたが、私たちはそれに成功したのです。

オフィスが地理的に分散していることと、自宅において地理的に分散することとは違う、とEmili氏は主張する。事態は急速に変化し、すべての人々に同じ課題が課されることになった。そして、氏によれば、最も早く対応したのはハイパフォーマンスチームだったのだ。

リモート作業は人々の仕事環境に影響を与えたが、すべての人がそれに備えていた訳ではなかった、とEmili氏は言う。旧態依然とした強制的作業パターンはもはや効果的ではない。人々がオフィスにいた時と同じような生産性を持つためには、企業が社員をサポートしなければならないのだ。

Emili氏によれば、子育てのニーズについて理解することと、フレキシブルな就業パターンを提供することが、必要事項のツートップだ。

フレキシブルな就業パターンには、必要に応じて標準以外の時間を選択できることが含まれます。賢明な企業ならば、問題なくサポートできるはずです。子供を迎えに行くために15:00から16:00まで席を外す必要があったとして、それに何の問題があるでしょうか?明確な取り決めさえあれば、その人が1時間不在であってもチームは機能できるはずです。

今は進化の時である。そして社員は、まさにこの進化の中心にいるのだ。企業は9:00から17:00まで(仮想)オフィスに着席していることを求めてはいない。求めているのは、期待される成果をもたらすパフォーマンスを持った人たちなのであり、そのためには彼らのニーズに応えて、可能な最善の作業環境を提供する必要がある、とEmili氏は言う。

InfoQはMatteo Emili氏に、企業がCovid-19パンデミックへの対処を通じて学んだことについてインタビューした。

InfoQ: Covid-19パンデミックがもたらした課題に対処する上で、地理的に分散したハイパフォーマンスチームにはどのようなアドバンテージがあったのでしょう?

Matteo Emili: ここでのキーワードは適応力(adaptability)です。文化的な課題はいつの時代でも、克服が最も難しいものです。そして、適応の早いハイパフォーマンスチームは、基本的構造として高いレジリエンスを持っています。

例えば、ミーティングに関する明確な基本ルールが事前に確立されている、目的を持ってコミュニケーションを共有する空間がセットアップされている、といったことで、新たな労力を必要とすることなく、チームメンバの参加を促進し、全員の意見を一致させることが可能になっているのです。一般的なチームとハイパフォーマンスなチームの違いは、このようなところに見られます。必然的に発生する調整作業への対応に前者が(比較的)苦労しているのに対して、後者は自然に適応できています。

InfoQ: 講演の中では、在宅勤務の採用に関するシナリオがいくつか紹介されていましたが、その中のひとつに、プルリクエストを使用したシンプルな例がありました。この方法で明らかになった課題や、そこから学んだことは何でしたか?

Emili: リモート環境でのプルリクエスト(PR)は、直接実施する場合とは違います。TeamsやSlackを介した時のように、横並びですぐに問題を確認するということができないのです。リモートPRでは、おおらかな気持ちで、批判に対して自分自身をさらすことが必要です。しかしこれは、誰でもすぐにできるものではありません。

このようなケースをコーチするためには、誤解を避けるため、適切なツールと適切な態度で情報を共有する必要のあることは疑いありません — 情報の伝達方法が重要なのです。

システムの特定の機能に対して直接異議を唱えることができるような、コーチハットを被ったリーダの存在が必要でしょう。説明が必要以上に冗長になったり、あるいは双方が調停できないような状況であれば、別のコミュニケーションメディアに移動した方がよいでしょう。それによって、非構造的な会話のエクスペリエンスが改善できます。観点が2つであれば問題ありませんが、数十、あるいは数百というコメントを寄せられても、レビューには役に立たないのです! 合意が得られたならば、その方法と理由を記載して、簡潔な方法でPRに記録しておくのがよいでしょう。

こう考えてください — PRで口論をしているのを見たいのですか?そうではないでしょう、見たいのは明解な会話の流れです。議論の内容は、内部的なチャットに残しておけばよいのです。

InfoQ: イシューのトラブルシューティングに関するシナリオもありました。何が起きて、そこから何を学んだのでしょうか?

Emili: トラブルシューティングに関して、重要なのはコーディネーションとコラボレーションですが、リーダの立場からは、明確なバウンダリの維持も忘れてはならないことです。リーダの役割はサポートと作業の促進であって、指揮や命令ではありません。

リモートチームでは、リーダはマイクロマネジメントのためではなく、効果的な対処を確実にするための存在である、ということを理解すべきです。リーダの支援はチームが直面する障害や問題を取り除くことであって、直接指揮を取ることではありません。そうでなければ、チームの存在意義が損なわれてしまいます。チームメンバは問題に対して自己組織化して、リーダに依頼をするのは本当に必要な場合に限るべきです。トラブルシューティングを逐次指示してマイクロマネジメントを行うリーダは、問題を酷くするだけです。

InfoQ: リモートワークをより効率的にするために、何かアドバイスはありますか?

Emili: 耳を傾けること、そして何よりも、支援をすることです。

私は常々、チームメンバと1対1ベースでコンタクトを取るように心掛けています。また、多くの時間を過ごすことになるリモート環境をどのように形成するかについては、当初から相互の文化的理解を確立していました。

この中には、知識共有セッション、学習グループ、さらにはゲームセッションなど、これまで述べてきたすべてが含まれています。これらすべてが、健全な作業環境に必要なのです。

例えば、ある資格を取得するための勉強をしたい、というチームメンバがいました。そこで私は、同じ思いを持つ人たちの学習グループを設定するようにアドバイスしました — 2週間後、そのメンバは、自身が資格を取得しただけでなく、他の5人が同じ資格を取得することを支援できたのです。

別の環境では、数週間にわたって大きなストレスを感じていました。そこで私たちは、誰でも立ち寄って自由な話題を話すことのできるソーシャルセッションを導入することにしました — これが非常にうまくいって、自分らしくいることのできる安全な空間として、とても喜ばれました。

積極的に聞く姿勢が、リモートワークを成功させる鍵なのです。同僚が困っているようですか? チャットしてみましょう。会社が可能な限り最善の方法で問題に取り組んでいない、と思うのですか? 上層部と話してください。会話を受ける側なのですか? 行動しましょう。

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