先日のIgniteカンファレンスにおいて、Microsoftは、Azureプラットフォーム経由でOpenAIのAPIにアクセス可能な新サービスであるAzure OpenAI Serviceのプレビューを発表した。この新たなAzure Cognitive Serviceは、OpenAIのパワフルなGPT-3モデルへのアクセスを、セキュリティ、信頼性、コンプライアンス、データのプライバシなど、Azureプラットフォームを通じて実現されるエンタープライズレベルの機能と合わせた形で実現するものだ。
かつて同社は、Teslaの創業者であるElon Musk氏ら数人の投資家が非営利なオープンソース組織として立ち上げたOpenAIに対して出資していた。OpenAI APIは、営利を目的とするOpenAIエンティティとして初の商業プロダクトであり、開発者による自然言語GPT-3の汎用目的モデルの活用を可能にするものだ。モデルGPT-3と、それをチューニングしたCodexなどの派生プロダクトにより、自然言語のソフトウェアコードへの変換、大量のテキストの要約、質問に対する回答の生成といった、言語の深い理解を必要とするアプリケーションに合わせてカスタマイズすることができる。
OpenAI APIをAzureに導入することによってMicrosoftは、企業がGPT-3を、それぞれのビジネスや業界に特有の法律や規制、技術要件に適合する方法でデプロイすることを可能にする。その例として同社は、Igniteの"Book of News"で次のように述べている。
新サービスは、コンテンツの要約からコードの生成まで、さまざまなユースケースに適用することができます。信頼性のあるAIコントロールと高度なファインチューニングにより、企業の最もミッションクリティカルなアプリケーションにおいて、これらのモデルを使用することが可能になるのです。
出典: https://www.youtube.com/watch?v=HTw4cJy3XNk (スクリーンショット)
Azure OpenAIによってMicrosoftは、そのAI言語ポートフォリオをさらに拡張し、GoogleやAWSといった他の競合パブリッククラウドに追随する。Googleは音声用ニューラルネットワークを早い時期から手掛けており、Cloud Text-to-Speech、Cloud Speech-to-Textを2018年にGAとして提供した。AWSも同年にAmazon Transcribeの提供を開始している。Constellation Researchのバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストのDion Hinchcliffe氏は、ツイートで次のように述べている。
個人的見解: @Microsoftが@Azureの#OpenAIで採用した#GPT3のライセンシングは、ゲームチェンジャになる可能性があります。同社の大規模なAI展開と合わせることによって、企業のCIOは、戦略的#AI機能を短期間で提供する手段を得ることになります。
さらに、MicrosoftでAzure AIを担当するバイスプレジデントのEric Boyd氏は、Azure AIのブログ記事で、Azure OpenAIについて次のように語っている。
これはまったく新しいパラダイムです。この極めて大規模なモデルは、それ自体がプラットフォームなのです。単にそれを導入し、いくつかの例を与えるだけで、結果を得ることができます。データサイエンスチームも、数千台のGPUも、モデルをトレーニングするためのリソースも必要ありません。GPT-3を使用したいという企業から大きな関心が寄せられているのは、このような理由からだと思います — 非常にパワフルであると同時に、極めてシンプルなのです。
なお、Azure OpenAIの利用は、当面招待のみに限定される予定である。Azure Open AI Serviceに関する詳細な情報はFAQを通じて公開されている。