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Apple、旧式アプリケーションをApp Storeから削除へ

原文(投稿日:2022/05/02)へのリンク

Appleから多数のアプリを削除すると警告されたiOS開発者たちの報告に続いて、Appleは、App Storeから古いアプリを削除する同社の方針を認めるとともに、その内容を明確化する発表を行った。この方針は2016年から実施されているもので、3年間にわたってアップデートされていないアプリが対象となる。

Protopop GamesKosta EleftheriouEmilia Lazer-Walkerなど、いくつかのアプリケーションメーカはTwitterで、"長期にわたってアップデートされていない"一部のアプリケーションを削除する、という警告のEメールをAppleから受け取っていることを公表した。Appleによると、それらのアプリをApp Storeに留める唯一の方法は、30日以内にアップデートをサブミットすることだ。

Appleの新方針とも受け取れるこのニュースは、Web上でもすぐに話題となり、興味深い会話が交わされることになった。

AppFigureのAriel Michaeli氏によると、この方針は、現在配布されている200万強のアプリケーション中の、75万の有効なアプリに影響する可能性がある。削除プロセスはすぐには実施されないだろう、とMichaeli氏は予想する。しかしAppleは、何年にもわたって、数十万のアプリをすでに選別しているとも言われる。例えば数年前に64ビットのサポートを必須とした時には、現行のコンパイラで再ビルドできなかった多数の放棄アプリが削除された。

その一方で、影響を受ける開発者たちは、Appleの方針がインディ開発者、特にゲームクリエータにとって極めて不公平である点に懸念の声を上げている。Lazer-Walkerは言う。

2014年以前に開発した小さな無償ゲームのひとつひとつを、それぞれ何日もかけてアップデートするというのは、現実的な話ではありません。

Protopop GamesのRobert Kabwe氏も同じように、インディ開発者が本業後のオフタイムを使ってモバイルゲーム開発の変化スピードについて行くことの難しさを語っている。

状況を明確化するために、Appleは、3年間にわたってアップデートが行われず、ダウンロード数の最低基準に達していないアプリが削除の候補になる、と説明する記事を公開した。その中で同社は、2016年に"App Store Improvement"というタイトルで開始したこの方針を、App Storeからダウンロードされるアプリの発見性、セキュリティとプライバシ、ユーザエクスペリエンスの向上という観点から正当化している。

このようなAppleの説明は、議論の条件を正確に定める上では有効だが、方針に対する多くの異論の核心部分には触れていない。特に問題なのは、この方針が、映画と同じように、ある時点において完成したアートワークであり、以降の変更が許容されないゲームに対しては、あまりにも制約的で、プレーの機会を奪うものであるという点だ。

Daring FireballのJohn Gruber氏が言うように、PixarにToy Storyを2年毎にアップデートする義務がないという事実がある。しかし、話はこれで終わりではない。Matt Deatherage氏が反論するように、"1996年に購入したToy StoryのVHSテープは、8K TVに接続されたApple TVでは鑑賞できない"という事実もあるのだ。さらにDeatherage氏は、旧アプリの淘汰を支持するポイントとして、レガシAPIを使用するアプリがプラットフォーム上で引き起こす技術的負債の削減を挙げている。事実として、そのようなAPIは、更新の滞っているアプリの後方互換性確保のためだけにメンテナンスされなくてはならないのだ。

いずれにせよ、Appleの発表には、同社の警告メールを受け取った開発者を支援する重要なポイントが2つ含まれていた。ひとつは、アプリケーションをアップデートするための時間猶予を拡張して90日以内とすることであり、もうひとつの、そして最も重要なのは、自身のアプリが削除方針に影響されるべきではないと開発者が考える場合、その決定に抗議して再考を求める機会があるとされていることだ。

最後に、今回のAppleの方針が、2年以上前のAPIレベルを対象とするアプリの削除によるユーザセキュリティ強化を公式の目標として、Googleが先日発表した方針と類似している点にも注目すべきだろう。

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