AWSは最近、Amazon Route 53でのIPベースルーティングのサポートを発表した。DNSサービスの新しいオプションにより、顧客はクライアントサブネットに基づいてドメインのリソースをルーティングし、ネットワークトランジットのコストとパフォーマンスを最適化できる。
ジオロケーションルーティングは、リクエストのロケーションに基づいてトラフィックをルーティングするように設計されているが、一方でそのための情報はRoute 53が収集し、最新の状態に保っている。IPベースのルーティングでは代わりに、顧客とネットワークの特定の知識に基づいてルーティングを実行する機能が提供される。例えば、エンドユーザのアクセスが特定のISPから専用エンドポイントへ向かうという知識である。
出典: https://aws.amazon.com/blogs/networking-and-content-delivery/introducing-ip-based-routing-for-amazon-route-53/
AWSのシニアスペシャリストソリューションアーキテクトのScott Morrison氏と、AWSのシニアテクニカルアカウントマネージャーのSuresh Samuel氏は次のように説明している。
IPベースのルーティングを使うと、ネットワーク、アプリケーション、クライアントについての知識を利用してDNSルーティングをきめ細かく調整し、エンドユーザに対して最適なDNSルーティングを決定することができます。IPベースのルーティングでは、パフォーマンスを最適化したり、ネットワークコストを削減したりするための、きめ細かい制御ができます。そのために、クライアントIP・ロケーションマップの形式でデータをRoute 53にアップロードできます。
Route 53のリソースレコードにIPベースルーティングを実装するために、顧客は、ロケーションとCIDRブロックを付与したCIDRコレクションを作成する必要がある。これはリソースレコードを定義するときにロケーションに関連付けられる。新しいポリシーは、Route 53で、スタンドアロンのIPベースルーティングとして、あるいはオーバーライドオプションとして使うことができる。たとえば、IPベースのルーティングでオーバーライドした遅延ベースのルーティングといったものである。
Morrison氏とSamuel氏は、IPベースのルーティングがリクエストのIPをどのように決定するかを明示している。
可能であれば、Route 53はEDNSクライアントサブネット（ECS）値を使って、クライアントへの応答を決定します。そうでなければ、リゾルバーのIPを使います（...）DNSクエリのECS値が、指定されたロケーションに関連付けられたサブネットの1つと一致する場合、Route 53はリソースレコードにある対応する回答値でDNSクエリに応答します。
Route 53で利用できるルーティングオプションは、IPベースとジオロケーションだけではない。他にも遅延ベースのルーティング、地理的近接性、加重ルーティングなどがある。Route 53では、さまざまなDNSフェイルオーバとルーティングタイプを通してトラフィックを管理することができ、それによって、遅延を最適化してフォールトトレラントアーキテクチャをサポートすることができる。Corey Quinn氏は、自身のニュースレターで次のようにコメントしている。
遅延ベースルーティングの設定が完了したばかりですが、学習/選択することがもう1つあります。
Redditスレッドでは、ユーザのPulseDialInternetがIPベースルーティングのユースケースの例を示している。
これは、さまざまな目的に対して特定のブロックをルーティングすることです。たとえば、Verizonで個別の最適化を設定していて、特定のネットワークセグメントからのすべてのトラフィックは、トラフィックのメリットを得るために特定のAWSリージョンに送信されるべきです。
クエリがIPv4かIPv6アドレスから発信され、CIDRコレクションにCIDRブロックが指定されていない場合、Route 53はデフォルトロケーションで応答する。コレクションで指定されたものより長いCIDRを持つDNSクエリの場合、Route 53はそれよりも短いCIDRと照合する。
IPベースルーティングのクエリは、100万クエリあたり0.80米ドルから始まる。地理的近接性のクエリよりも高価で、地理的近接性のクエリは100万クエリあたり0.70米ドルから始まる。Route 53のこの新機能は、プライベートホストゾーンではサポートされない。