最近のBuild会議で、MicrosoftはMicrosoft Dev Boxを発表した。この新しいクラウドサービスは、あらゆる規模のハイブリッドチーム向けに、安全ですぐにコーディングできる開発者ワークステーションを提供するサービスである。同社は、この新サービスにより、コードを作成するためのツールとリソースが全て付属する事前設定された環境に開発者がすばやくアクセスでき、快適に開発できるようにすることを目指す。
Microsoft Dev Boxを使うと、開発チームはDev Boxイメージを自身で作成・保守できる。そして、そのイメージに、アプリケーションを構築・実行するためのすべての開発者ツールと依存関係を含めることができる。さらに、開発チームはアプリケーションのソースコードとナイトリービルドのバイナリを含めることができるため、開発者は長いリビルドを待たずにコードの実行・理解をすぐに始めることができる。
同社によると、開発者は開発者向けポータルからDev Boxを制御でき、概念実証(PoC)用の開発Boxを作成したり、作成済みのBoxを管理したりできる。さらに、プロジェクトを個別に管理したり、あるいは、複数のDev Box間でタスクを並列化することでプライマリ環境をダウンさせてしまうことを回避できる。
Microsoft Dev Boxでは、開発者向けの統合開発環境(IDE)、SDK、Windowsで実行される内部ツールをサポートしている。さらに、同社によれば、Dev Boxは、開発者がWindowsデスクトップから構築できるあらゆる開発作業をターゲットにすることができる。特にデスクトップ、モバイル、IoT、ゲームに適している。開発者は、Windows Subsystem for Linuxを使ってクロスプラットフォームアプリを構築することもできる。
Microsoft Dev Boxに関するRedditスレッドで、どのユースケースがDev Boxに適しているかを示す投稿があった。
Windowsデスクトップ、組み込み、ゲームコンソール、モバイル向けに構築している場合、その開発中にVisual Studio/VSCodeなどの開発者ツールに加えて、コマンドラインの操作性を超える別のUIクライアントアプリを使っている可能性があります(例えば、mBedピン構成ツール、Unreal Engine Editorなど)。このシナリオでは、DevBoxはより適しています。
さらに、他にも投稿があった。
私の開発チームのユースケースもあります。VSCodeは本格的なC++開発においてUXの観点で大量のクリックが発生してしまうため、VSCodeでなくCLionを使っています。依存関係チェーンもバイナリ、ライブラリ、ソースの合計で100GBです(最終的な出力ははるかに小さくなります)。
Microsoft Dev BoxはWindows 365上に構築されている。Windows 365は、IT管理者がユーザに事前設定された仮想PCを提供できるようにするサービスである。そのため、IT管理者はオペレーティングシステムイメージを作成し、Dev Box用にさまざまな量のCPUパワー、ストレージ、RAMを備えたハードウェア構成から選択できる。さらに、このWindows 365仮想マシン(Dev Box VMを含むがこれに限定されない)には、macOS、iOS、Android、Linux、ChromeOSを実行している他のWindows PCやデバイスからアクセスできる。
Dev BoxはAzureでホストされ、Azure Active Directoryと統合されるため、開発チームは、Azure Active Directoryグループに新しいチームメンバーを割り当てることで、新たなチームメンバーをすぐに追加できる。割り当ての際には、プロジェクトに必要なDev Boxへのアクセスを許可する必要がある。さらに、Dev Boxを開発者のローカルリージョンにデプロイし、コストを節約するためにいつでも開始/停止できる(有効にすると、VMでもコストが発生する)。
BJSSLtdのMicrosoftテクノロジ責任者のDaniel Amini氏は、次のようにツイートしている。
#Microsoft Dev Box、Windows 365ベースの開発ワークステーション。これは、管理・制御をしながらも、迅速に開発を進めるためにとても便利です。
Microsoftは、商用クラウドベースのIDEを展開した初のパブリッククラウドベンダーではないことを記しておく。競合のAWSは、AWS Cloud9でクラウドベースのIDEをすでに展開している。これは2017年から利用可能である。Webブラウザからコードを記述、実行、デバッグするためのフル機能のIDEを提供している(既存のEclipse Cheとほぼ同じ方法で)。
最後に、このサービスは現在プライベートプレビュー版であり、数か月以内にパブリックプレビュー版になる予定である。