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Meta AIが提供する新しいデータセットにより、水素燃料向けの再生可能エネルギー触媒の発見が加速

原文(投稿日:2022/05/19)へのリンク

Meta AIは最近、グリーン水素燃料MLモデリングとシミュレーションに関するまったく新しいデータセットを間もなくリリースすると発表した。これは、酸素発生反応(OER)のための酸化物触媒に焦点を当てたものである。OERは風力と太陽光のエネルギーを介したグリーン水素燃料の生産に使われる重要な化学反応である。

Meta AIとカーネギーメロン大学(CMU)の化学工学部は、Open Catalyst Projectの下でグリーンエネルギー触媒の発見を促進するための取り組みを協働で進めている。これは、機械学習を使った、太陽光や風力などの再生可能資源を、クリーンエネルギーの使用・貯蔵のために水素などの他の燃料に変換する触媒を見つける取り組みの一環である。彼らは、さまざまな材料について密度汎関数理論(DFT)からシミュレーション結果を収集し、より高速でより良い結果を得るためにDFTをMLモデルに置き換えることに取り組んでいる。彼らは、OC20(2020年10月)をオープンソース化した。これは初の、再生可能エネルギー貯蔵のための世界最大のトレーニングデータセットの1つである。このデータセットは1,281,040個のDFTで構成されており、重要な機能としてさまざまな材料、表面、吸着質が含まれている。

OERは、水素生成における最も重要な化学反応の1つである。これは、電気自動車の太陽電池、風力電池、充電式金属空気電池など、多くの再生可能エネルギーで使われている。通常のプロセスの一部として必要となる、ルテニウムやイリジウム酸化物などの金属酸化物の入手とコストには制限がある。そのため、プロセスを高速かつ経済的にするためにOERのための低コストの触媒を見つけることに多大な労力が費やされてきた。

Meta AIブログは、最近公開された投稿で、今後提供されるデータセットについて言及している。そのタイトルは「グリーン水素燃料向けの新しいデータセットで再生可能エネルギーを促進」である。

OERデータセットには、4万の固有のシミュレーションから得られた約800万のデータポイントが含まれています。私たちは、これまでの酸化物触媒のためのデータセットの中で最大のであると信じています。これは、52の要素にまたがる帯状の酸化物材料にわたっています。そこには、CO、H、C、Nとの表面相互作用に加えて、酸化物材料の表面とOERに関与する5つの重要な分子(O、OH、H2O、OOH、O2)間の相互作用が含まれます。また、それによって、結晶欠陥や多分子性がある場合の、表面での相互作用についても説明されます。データセットとベースラインモデルは、今後数か月以内にオープンソース化され、世界の科学コミュニティが再生可能エネルギー技術を進歩させる助けになるでしょう。

このデータセットを生成するには、数百万時間の計算が必要となる。MetaのNet Zeroプログラムの一環として、Meta AIは、このデータセットを構築するための計算による炭素排出量が100%オフセットされると述べた。

この分野の機械学習エンジニアと研究者を育成し、引き付けるために、Meta AIとCMUは、昨年6月に触媒選択問題に最適なMLモデルのコンテストを開催した。Meta AIは、昨年12月のNeuralPS-2021カンファレンスで受賞者を選出した。彼らはこの努力によって、グリーンエネルギーの触媒発見問題に対して、より良いソリューションが生み出されることを願っている。

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