原文リンク(2023-05-26)
マリオン・ローケン氏は、「良いコンフリクト（対立）を持つこと」が重要であると言う。コンフリクトはネガティブな印象があるが、好奇心を持つことでよりポジティブな結果を得ることができ、信頼と心理的安全性を築くことができる。自分の感情や反応を自覚することで、後々反省しなければならないような言動を防ぐことができるのだ。
ローケン氏は、NDCオスロ2023で、チームにおけるコンフリクトの扱いについて講演した。
良いコンフリクトは信頼を育み、個人とチーム全体の盾になる。ローケン氏は、良いコンフリクトの4つの条件を次のように説明する。
- 人をターゲットにするのではなく、トピックに焦点を当てる。
- 個人の利益よりもチームの成功を優先する。
- 迅速に対処する。
- 解決志向である。
信頼関係の構築は非常に重要であり、コンフリクトに対処する際には常に信頼の基盤があった方が良いとローケン氏は語る。チームメンバーとの信頼関係を築くために時間と労力を費やすことは、決して無駄にはならない、と彼女は述べた。
コンフリクトに対処するために、ローケン氏は好奇心を超能力として扱うことを提案している。好奇心は、対立を「正しいこと」から「共通点」を見つけることにシフトさせ、ポジティブな感情を育むという。
「好奇心を持つこと」を筋肉のように鍛えることが大切です。リスクの少ない状況から始めて、徐々に難易度を上げていくといった実践を重ねて習慣化させましょう。
公平なプロセスを構築することで、コンフリクトにより良く対処できるとローケン氏は語る。そのプロセスとは、すべての人の声を聞き、集団で意思決定を行う環境を作ることである。
最初から公正なプロセスを構築し、望ましい結果に焦点を当てれば、物事がうまくいかないことはまずありません。
ローケン氏は、コンフリクトは心理的安全性を試すものであり、またそれを育むものであることを学んだと語る。環境がどれだけ安全かを測るリトマス試験紙のようなものである。あえて型破りな考えを同僚と共有したとき、彼らの反応がその証になるとローケン氏は話した。それは、対人関係でリスクを取って信頼を築くことが安全であることを確認するか、あるいはその逆であることを明らかにするものだ、と彼女は結論づけた。
InfoQは、Marion Løken氏に、チーム内のコンフリクトへの対処についてインタビューを行った。
InfoQ: チーム内のコンフリクトについて、どのようにお考えですか？
Marion Løken氏：私は、コンフリクトを健康状態の指標として考えています！対立が少なすぎると、イノベーションを阻害する「グループ・シンク（集団浅慮）」のシナリオに直面する可能性があります。一方で、対立が多すぎる場合は、生産性を確保するために、役割や目標、期待を明確にする必要があることを示しています。つまり、適切なバランスを見つけることが、調和のとれたチームダイナミクスを成功させる鍵なのです！
InfoQ: そのバランスを取るためのコツがあれば教えてください。
Løken氏：完璧なバランスを見つけるのは難しいですが、参考になる指標を紹介します。チームのレトロスペクティブで議論されるトピックの数と内容に注目してみてください。私の経験では、あまり話題に挙がらない場合、問題であることがほとんどです。
コンフリクトに対処する場合、文化によってアプローチが大きく異なることを認識することが重要です。ある文化では直接的でオープンなコンフリクトを受け入れ、ある文化ではより非対立的なアプローチを好み、コンフリクトを密室で処理する傾向にあります。そのため、適切なバランスとアプローチを見つけるには、文化的規範に適応する必要があります。
多くの文化的側面と同様に、良いコンフリクトは上位の役割から期待され、発生するたびにより強い期待となります。上位の役割とは、チームのリーダーだけでなく、技術リーダー、プロダクトマネージャー、シニアデベロッパーなど、あらゆる権威ある人物を指します。
InfoQ: 良いコンフリクト解決のための提案があれば教えてください。
Løken氏：ひとつは、自己認識を深めることです。自分自身の感情や反応に気づくことが重要です。少し立ち止まって自分の気持ちを振り返るだけで、後々反省が必要となる言動を防ぐことができます。
自分の偏見を認めることが大切です。私たちは皆、誤った信念から間違ったを対立していた場合コンフリクトにつながる可能性を持っています。自分に似た人をより信頼するのは自然なことなので、もし自分が絶大な信頼を寄せている人が対立していたらどう対応したかを想像してみるのもよいでしょう。
他のソフトスキルと同様に、途中で失敗するのは当たり前です。謙虚な姿勢を保ち、うまくいかないときは心から謝るようにしましょう。心から謝ることは、責任感を示すだけでなく、心理的安全性の2つの柱である信頼関係の構築にも役立ちます。
InfoQ: 悪いコンフリクトを良いコンフリクトに変えるにはどうしたらいいのでしょうか？
Løken：それは難しいですね。悪い流れを断ち切るには、いくつかの調整をする必要があります。コンフリクトのゴールが不明確だったり、解決に積極的に貢献するためにコーチングが必要な利害関係のある人がいたりしませんか？人々が再びつながり、共通点に集中できるような小休憩を取ることは、素晴らしいアイデアです。アイスクリームを食べながら少し休憩するのはどうでしょう？