先日、Googleはプロジェクトユーザー向けの予算管理機能をリリースした。基本ロールであるプロジェクトオーナー、プロジェクト編集者は、クラウド使用量に基づく通知を受け取るため上位レベルの請求先アカウント権限にアクセスすることなく、プロジェクトの予算を作成できる。このクラウド請求機能は現在プレビュー中である。
プロジェクトユーザー向けの予算管理機能では、請求先アカウントの権限要件はなくなり、ユーザーは個々のプロジェクトに紐づく予算を作成・管理できるようになり、予算通知へのアクセスや、必要に応じて予算通知を受け取るためにチームのグループ・メールを追加といったカスタマイズによって迅速な対応が可能になる。
予算作成のスクリーンショット - 通知を管理する(出典:Googleブログ投稿)
Googleブログの投稿の執筆者で、デベロッパーアドボケイトのMark Mirchandani氏とGoogleの課金プロダクト・マネージャーのYogendra Joshi氏は、Googleがなぜこの機能をプレビュー版としてCloud Billingに導入したのかを説明している。
プロジェクト権限を持つユーザーに予算の全機能を提供することで、プロジェクトユーザーはコストを把握し、実用的な情報を受け取る最適な方法を選択して、想定外のコストを防げます。請求先アカウントの管理者がプロジェクトごとに予算を設定・管理するのではなく、プロジェクトのオーナーがコンソールを通じて自分の予算を管理し、予算を超えた際に通知を受け取ることが可能です。
プロジェクトのオーナーや編集者に予算の作成機能だけでなく、Cloud Billing Budget APIは、多数の予算を扱う場合に予算を更新・管理する手段を提供する。さらに、Cloud Functionsを活用して、開発者は予算編成を自動化し、予算通知を独自のプロジェクト・ワークフローに統合ができる。後者では、指定された閾値に達した後、開発者は特定の非本番プロジェクトの支出に上限を設定し、そのプロジェクトに接続されているリソースのシャットダウンができる。
AWSやMicrosoftのような他のパブリッククラウドプロバイダーは、クラウド支出を管理するためにGoogle Cloudのような予算機能を提供している。例えば、AWS Budgetsは、ユーザーがカスタム予算を設定してコストと使用量を追跡し、一定の閾値を超えた場合にメールやSNSの通知から受け取ったアラートに素早く対応できるサービスを提供している。一方、Microsoft Azureでは、コスト管理サービスにおいて、通知の設定を含めた予算の作成と管理ができる。
さらに、予算の管理はクラウドのコスト管理と最適化を推進する非営利団体であるFinOps FoundationのFinOpsフレームワークにおける重要な機能である。パブリッククラウドのベンダーであるGoogleとMicrosoftは、この組織の主要メンバーである。
このフレームワークでは、予算管理について文書で説明している。
クラウド(またはその他のIT費用)の予算管理は、特定期間の見積もり費用を集めるプロセスです。事業としてどのように運営するか、何に投資するか、その他の戦略的決定は予算に基づいて行われます。実際の経費が予算と合わない場合、その予算に基づいて行われた業務やその他の意思決定に影響を与える可能性があります。
最後に、MicrosoftはFinOpsフレームワークの予算管理機能をコスト管理に導入するためのガイドラインを公開している。同時に、GoogleはFinOps認定サービス・プロバイダーとして、組織がクラウドのコストを効果的に管理できるよう支援している。