Redis Inc.は先日、Redis 7.2正式リリースを発表した。Redis 7.2には自動階層化、ネイティブ・トリガー、およびベクトル類似検索(VSS)など、クエリーや検索シナリオのパフォーマンスを向上させる拡張可能な検索機能のプレビューなどの新機能を含んでいる。
Redisは同社の主力製品であり、データベース、キャッシュ、ストリーミング・エンジン、メッセージ・ブローカーとして機能するオープンソースのインメモリ・データストアである。Redisは異なるメッセージング・プロトコルを使用するデータ・サービスとアプリケーション間の通信を容易にしている。Redis 7.2の発表により、同社は、オープンソース、ソース利用可能、商用クラウド(例:Azure Cache for Redis、Redis Enterprise Cloud for AWS)、ソフトウェア、Kubernetesディストリビューションを含むすべての製品およびサービスにおいて、パフォーマンスの強化、新しいコマンド、管理性の向上をもたらしている。
パフォーマンスの向上は、Redis on Flashとして以前から知られていた自動階層化機能に適用されている。これにより、開発者やオペレーターは、頻繁にアクセスされるデータをメモリに保持し、使用頻度の低いデータをSSDに移行することで、増大する大規模データセットを効率的に処理できる。同社によると、この結果、旧バージョンと比較してスループットが2倍以上向上し、広範なDRAMを管理するためのインフラ費用が最大70%削減された。
生成AIアプリケーションの課題増大に対応するもう1つの機能強化は、Redis 7.2のスケーラブル検索プレビューにて、VSSや全文検索を含む、より高いクエリ・スループットを可能にすることだ。シームレスなデータ拡張のためにシャーディングと効率的な垂直スケーリングを融合させることで、クラスタ全体で最適な分散処理を保証し、クエリのスループットを従来比で最大16倍向上させている。
さらに、Redis 7.2にはトリガーとファンクションが含まれており、開発者はRedis内部にとどまりながらビジネスロジックをデータに近づけることで、より低レイテンシーを実現し、リアルタイムアプリケーションの構築と保守が可能になる。Redisブログのトリガーとファンクションに関する投稿では、次のように説明されている。
この機能により、開発者はデータにより近い場所で関数を実行するためのイベント(トリガーと呼ばれる)を定義できる。つまり、開発者はデータベースのイベントやコマンドに反応して実行されるビジネスロジックを定義している。クライアントからのコードをデータベースに取り込むための待ち時間がないため、コードと関連するインタラクションがスピードアップしている。
完全なJavaScriptを例にとると、次のようになる。
#!js name=lib api_version=1.0function answer(client, data) { return client.call(‘ping’);}redis.registerFunction(‘playPingPong’, answer);
また、Redis Data Integration(RDI)も追加された。これはプレビュー版の機能で、複数のソースからRedisへ、段階的にデータを取り込むことで、あらゆるデータセットをリアルタイムにアクセス可能な状態に変換している。この機能により、開発者はOracle Database、Postgres、MySQL、Cassandraなどのデータソースと統合できる。
最後に、Redis Enterprise Softwareのユーザー向けに、同社のクラウドUIをモデルにした新しいクラスタ管理ユーザーインターフェース(UI)が導入された。これにより、オペレータがデータベース情報に簡単にアクセスできるようになり、一貫したエクスペリエンスが保証された。さらに、5つのライブラリ(Jedis、node-redis、redis-py、NRedisStack、Go-Redis)の保守者との協力で、ユーザーエクスペリエンス、ドキュメント、ガバナンス、パフォーマンス、セキュリティの一貫性を高めている。
RedMonk社の主席アナリストであるStephen O’Grady氏は、Redisのプレスリリースで次のように述べている。
データベースが開発者の経験を向上させるもっとも重要な方法の1つは、新しい機能やツールの追加で汎用性を高めることだ。幅広い開発者コミュニティの活用で、Redisはより汎用性の高いデータベースの提供、より良い開発者体験を提供している。
しかし、Redditのスレッドの回答者はこうコメントしている。
Redisは数年前に開発を中止している。これはすべてクローズドソースの高価な企業向けソフトウェアであり、とんでもなく高価だ。Redisをデータベースとして(単なる基本的なキャッシュとしてではなく)スタートアップを設計したことを後悔している。高価なエンタープライズ・ソフトウェアに設計上、これほど深く依存することはなかっただろう。RedisのOSS部分は、現時点では単なる見せかけに過ぎない。
結びに、Redisに関するより詳しい情報は、ドキュメントのページで確認できる。