先日、Microsoft社はAzure API Managementの新しい価格オプション、Basic v2とStandard v2のリリースを発表した。これにより小規模からエンタープライズレベルのアプリケーションまで、さまざまな開発プロジェクトをサポートする拡張性と柔軟性を提供する。
Azure API Managementは、Microsoft社がクラウド上で提供するAPI Gatewayで、使用量や機能に応じた価格でユーザーに提供する。今回のリリースでは、昨年のパブリックプレビューに続き、新たにBasic v2とStandard v2を追加した。
v2の価格オプションは、API管理に対するMicrosoftのアプローチの進化を表している。同社は最新の開発プラクティスに合わせた機能を導入しつつ、既存の価格オプションをサポートしている。これらは、既存の価格オプションであるDeveloper、Basic、Standard、Premiumを補完するもので、ユーザーはプロジェクトの規模や複雑さに応じた柔軟にオプションを選択できる。
Basic v2およびStandard v2は、いくつかの重要な機能をもたらす。
-
より迅速なデプロイと拡張性:この2つの価格オプションでは、API Managementインスタンスの迅速なセットアップとコンフィギュレーションが可能になる。開発者はAPI管理リソースを効率的に拡張して、幅広い使用量に対応できる。
-
簡素化されたネットワーキング・オプション:特にStandard v2では、ネットワークから分離されたバックエンドへのアウトバウンド接続の機能が強化されている。このネットワーキングの簡素化により、バックエンド・サービスとのセキュアで効率的な統合が容易になる。
-
VNet統合によるセキュリティ強化:VNet統合は今回のリリースで最も注目すべき点であり、よりセキュアなAPIバックエンド接続を可能にする。セキュアでプライベートな接続がもっとも重要なアプリケーションにとって、この機能は不可欠である。従来はPremiumで包括的なVNetサポートを提供していたが、Standard v2はAPI Managementゲートウェイと開発者ポータルを一般公開するなどの制限はあるものの、同様の機能を拡張している。
Standard v2で大きく改善された。v1はVNetの統合が欠けているため使えなかった。
さらに、Azure MVPのToon Vanhoutte氏に新しい価格オプションについて尋ねると、彼はこのように答えた。
新しい価格オプションのおかげで、Azure API Managementの顧客は、より低価格でプレミアム・ネットワーキングの恩恵を受けることができます。
Azure API Management Tiersの概要(出典:Tech Communityブログポスト)
Azure API Management Tiersの重要な点は、ネットワーキングとセキュリティの強化にフォーカスしていることだ。
-
インバウンド接続用のプライベートエンドポイント:この機能は、API管理におけるセキュアなクライアント接続をサポートするもので、インターネットへの公開を最小限に抑えたい開発者にとって不可欠なものだ。
-
VNetインジェクション:DeveloperとPremiumで利用可能なこのサービスは、仮想ネットワークに導入出来る。プロジェクトのセキュリティ要件に応じて、パブリックまたはプライベートのインバウンドモードを設定するのに効果的である。
-
VNet Integration for Standard v2:VNet インジェクションとは異なり、VNet Integration では API Management サービスが接続された VNet 内のプライベート IP を介してサービスにアクセスできる。この機能は、VNet内のバックエンド・サービスへのセキュアなアクセスを必要とするプロジェクトにとって極めて重要だ。
今回のリリース、特にStandard v2は、本番環境向けに設計されている。ネットワークから分離されたバックエンド処理をサポートし、拡張性を提供する。この開発は、APIを安全かつ効率的に管理するための柔軟でスケーラブルなソリューションを求めるチームにとって重要だ。
CoditのAzure MVPであるMassimo Crippa氏はInfoQに語った。
共有インフラを活用することで、V2層はさらなる柔軟性をもたらし、競争力のある価格モデルで複数のクラウドネットワークレイアウトにアクセスできる。
このようにMicrosoft Azureの提供を拡大する一方で、制限もある。例えば、Gitを使ったAPI Managementサービスのコンフィギュレーション、バックアップとリストア機能、ビルトイン分析といった特定の機能は、このリリースではサポートされていない。開発者は、プロジェクトに適した価格オプションを選択する際、これらの要素を考慮しなければならない。
InfoQは、Azure API ManagementのシニアプログラムマネージャーであるFernando Mejia氏に、既存のAPI Managementインスタンスは現在新しいリリースのインスタンスに移行できないことから、将来的にこのような移行をサポートするためにどのような計画があるのかを尋ねた。
プレミアムv2プレビューとGAをリリースし、v1とv2オプション間の差異を改善した後、最後のマイルストーンとして、v1からv2オプションへの移行に投資する予定です。
さらに、InfoQは、v2での価格オプションの導入とその新機能について質問した。製品チームは、Gitを使用したAPI Managementサービスの設定、API Managementインスタンスのバックアップとリストア、Azure DDoS Protectionの有効化といった機能がv2ではサポートされないことについて、どのように対処する予定なのか。Mejia氏は次のように答えた。
不足している機能については、このような対応を予定しています。
いくつかの機能は全価格オプションで廃止されます。gitリポジトリ、直接管理API、クラシックなビルトイン・アナリティクスなどで、このうち2つはすでに終了しています。
私たちは、残りの機能を同じように提供するために不足しているマイナー機能(キャパシティメトリック、トレース)、Azs、マルチリージョン、セルフホストゲートウェイ、ワークスペースを優先的に取り組んでいます。
最後に、新しいオプションはさまざまなAzureリージョンで利用可能で、価格ページで価格の詳細が確認できる。