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CockroachDBが無料のCoreバージョンを終了、オープンソースコミュニティで懸念が高まる

原文リンク(2024-09-01)

CockroachDB Labsは最近、同社の分散型SQLデータベースのライセンスモデルの変更を発表し、無料のCoreバージョンを廃止してEnterpriseバージョンを唯一のオプションとした。以前、オープンソースライセンスから脱却したが、この最新の変更は、シングルベンダーによって管理されるオープンソースソリューションの将来性について、コミュニティにさらなる疑問を投げかけた。

CockroachDBは、当初からセルフホストソフトウェアとして提供されており、個人ユーザーやスケーラビリティを追求する新興企業のニーズを満たすように設計された無料のCoreバージョンと、ミッションクリティカルなアプリケーションに使用する大企業向けに調整されたEnterpriseバージョンの2種類がある。Enterpriseバージョンには、クラスタ最適化、ディザスタリカバリ、セキュリティ強化、専門家によるサポートといった拡張機能が含まれている。Cockroach LabsのCEOであるSpencer Kimball氏は、同社がCoreバージョンの廃止を決定した理由を次のように述べている。

Enterpriseライセンスを取得せず、Coreの無料バージョンでCockroachDBの全機能を使用する規模型事業が増えています。(中略)製品が成熟期に入ったため、オペレータの負荷とサポート要件を最小限に留めたユースケースの本番稼動がいっそう可能になってきています。

LinkedInの人気スレッドでは、Percona社の創設者でオープンソースアドボケイトであるPeter Zaitsev氏が以下のようにコメントしている。

CockroachDBがオープンソースのエコシステムから離脱したことで、オープンソースの分散ネイティブリレーショナルデータベースのあり方について、新たな疑問が投げかけられています。我々にはまだYugabyteとPingCAP社のTiDBがあります。残念なことに、どちらもシングルベンダーが管理しており、ライセンス面で同様の「展開」をする危険性があります。PostgreSQLのようなガバナンスを利用する分散リレーショナルデータベースで、ライセンス変更のリスクが本当にないものがあるのでしょうか。

新しいプロジェクトや既存の個人ユーザーをサポートするために、CockroachDBは2つの新しいライセンスオプションを導入する。コミュニティサポートを受けながら30日間使用できるEnterpriseトライアルライセンスと、個人の開発者、学生、学術研究者、年商1,000万ドル未満の企業向けで毎年更新可能なEnterprise無料ライセンスである。Kimball氏はこう付け加える。

この新体制により、これまでセルフホスト型のEnterpriseライセンスにしかなかった堅牢なデータベース機能が、すべてのユーザーに提供されます。 CockroachDBのソースコードは、これからも全て利用可能です。

CockroachDBがセルフホスト製品を単一のEnterpriseライセンスに統合し、数年前にオープンソースから離れたことで、コミュニティは現在、他のベンダーによる変更の可能性を懸念している。「万人に開かれた」オープンソースプロジェクトは、シングルベンダーによって管理されるべきかどうかについての議論が高まっている。HackerNewsでは、Andrew Mutz氏がこう記している。

オープンソースプロジェクトがベンチャーキャピタル(VC)から支援を受けた企業によって運営される場合、遅かれ早かれこのような結末を迎えます。「オープンソース」は、人々の興味を引くためのティーザー広告に過ぎず、投資家が増収を求めると、失敗に終わることが増えているようです。

現存する数少ないオープンソース分散データベースのひとつであるPingCAP社のCEO、Max Liu氏は、コミュニティの懸念を払うためにこう述べている。

オープンソースは、単にあるプロジェクトに大きな注目や大勢の開発者の参加を得るための手段ではなく、ソフトウェア業界のコアバリューであり、信頼を促進し、コミュニティを構築します。私は、このコミュニティの一員であることに誇りを感じています。(中略)CockroachDBがなぜこのような決断をしたのかは理解できませんが、短期的な利益を狙っていることは間違いないと私は見ています。

CockroachDBのライセンス変更は、11月のバージョン24.3のリリースから適用される。CockroachDB LabsはCoreの提供を終了し、セルフホストユーザー向けに新しいEnterpriseライセンス体系を導入する。この変更は、バージョン23.1以降の新しいパッチリリースにも適用される予定だ。

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