BT

最新技術を追い求めるデベロッパのための情報コミュニティ

寄稿

Topics

地域を選ぶ

InfoQ ホームページ ニュース PayPal社、Cosmos.AI MLOpsプラットフォームにLLMを利用した生成AIサポートを追加

PayPal社、Cosmos.AI MLOpsプラットフォームにLLMを利用した生成AIサポートを追加

原文リンク(2024-10-09)

PayPal社はMLOpsプラットフォームCosmos.AIを拡張し、大規模言語モデル(LLM)を使用したジェネレーティブAIアプリケーションの開発をサポートする。同社は、ベンダー、オープンソース、自己調整LLMへのサポートを取り入れ、検索拡張生成(RAG)、セマンティックキャッシュ、プロンプト管理、オーケストレーション、AIアプリケーションのホスティングに関する機能をリリースした。

PayPal社は2020年頃にCosmos.AIプラットフォームを構想し、2022年半ばに一般公開した。同社は、これまで各チームが独自に構築してきた断片的なオーダーメイドソリューションの多くを、エンドツーエンドの機械学習開発ライフサイクル(MLDCL)をサポートするエンタープライズプラットフォームに統合することを決定した。リリース以降、Cosmos.AIが事実上PayPal社のAI/MLプラットフォームとなり、何千人ものデータサイエンティスト、アナリスト、開発者が利用してきた。

この統合プラットフォームは、Amazon SageMakerAzure Machine LearningGCP Vertex AIなどのクラウドプロバイダーと同様の機能を兼ね備えている。さらに、Cosmos.AIがプラットフォームの機能とその実装を切り離したことで、ユーザーが特注の社内実装と、オープンソースソリューションやプラットフォームが統合するサードパーティーベンダーが提供する実装のいずれかを選択できる。さらに、このプラットフォームはマルチテナントとセルフサービスをサポートし、マルチクラウドやハイブリッドクラウド環境での運用が可能だ。

Cosmos.AI MLOpsプラットフォームのアーキテクチャ(出典:PayPal Technology Blog

PayPal社は生成AIの重要性を認識し、早くから取り入れてきた。Cosmos.AIの柔軟性や拡張性を備えたアーキテクチャをベースに、同社は大規模言語モデル(LLM)を活用したGenAI機能の開発に投資し、プロダクトイノベーションを促進してきた。PayPal社のエンジニアリングディレクターであるJun Yang氏は、生成AIに特化したサポートに向けた同社の取り組みの概要を以下のように説明している。

わが社では、拡張性に優れたプラットフォームに向けた盤石な基盤が整っていたため、PayPal Cosmos.AI上で生成AIのホリゾンタルプラットフォームを数ヶ月で開発できました。このため、弊社は、AIテクノロジーの第一線に参入でき、また、社内での生成AIアプリケーション開発に迅速に対応することができました。また、異なるチーム間でのGenAI採用に関する重複した取り組みを最小限に抑えることで、コストを削減できる。

同社はCosmos.AIのトレーニング機能を強化し、オープンソースLLMやベンダーホスト型LLMの微調整を可能にした。モデルレポジトリも拡張され、Hugging FaceのようなModel Gardenの一般公開されているモデルからのLLMのオンボードが簡単になったほか、リーガルチェックやライセンスチェックが可能になった。Cosmos.AIは現在、マルチGPUのデプロイ、LLM最適化、ストリーミングインターフェース、ロギングやモニタリングの向上などのLLMOps機能も提供している。

Cosmos.AIのLLMOps機能(出典:PayPal Technology Blog

生成AIアプリケーションをサポートするため、PayPal社はベクトルデータベースやCosmos.AIのパイプラインを活用したRAGフレームワーク、LLM推論のためのセマンティックキャッシング、プロンプト管理フレームワーク、プラットフォームオーケストレーションフレームワーク、LLM評価ツール、アプリケーションホスティングを含んだ幅広い新機能を開発した。将来的には、AI/MLプラットフォームをさらに進化させ、セルフサービスや手動プロセスのワークフローを自律化する予定である。

作者について

この記事に星をつける

おすすめ度
スタイル

BT