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AWSが新しい量子コンピューティングチップOcelotを発表

原文リンク(2025-03-05)

AWSは最近、新しい量子コンピューティングチップ Ocelotを発表した。このチップはカリフォルニア工科大学のAWS量子コンピューティングセンターで開発され、同社によればエラー訂正を最大90%削減し、実用的な量子コンピューティングアプリケーションの開発を加速するスケーラブルなアーキテクチャを採用している。

AWSはOcelotに特定のエラーを抑制し、量子エラー訂正のリソース要求を削減するためのエラー訂正機能と革新的な「ネコ量子ビット」(シュレーディンガーの猫の思考実験に由来する)を搭載するよう設計した。マイクロエレクトロニクス業界の技術を活用し、スケーラブルなマイクロチップ上でネコ量子ビット技術と追加のエラー訂正コンポーネントを組み合わせたのは初めてのことだ。

Quantum Computing and AI on Xはエラー訂正の重要性を強調し、ツイートした

量子コンピュータが100量子ビットをうたっていても、実際に計算に使用できるのは約20量子ビット程度です。これがエラー訂正が重要技術である理由です。

量子ビットは原子粒子を含む量子力学システムで、様々な形態がある。トポロジカル量子ビットは物質のトポロジカル特性、特にマジョラナ粒子に基づく。フォトニック量子ビットは偏光や位相といった光の量子特性に依存する。AWSが提供するBraketと呼ばれる量子コンピューティング研究プラットフォームは閉じ込めイオン量子ビットを基盤としている。さらにAWSは振幅や位相の変化を含むボーズ粒子(光子)の振動状態を表す、前述のネコ量子ビットを開発している。

Ocelotに関するニュースレポートの中でAWS量子ハードウェアディレクター Oskar Painter氏は次のように述べている。

最近の量子研究の進歩により、実用的でフォールトトレラントな量子コンピュータが実世界のアプリケーション向けに利用可能になるのかは「もしも」ではなく「いつ」かという段階に来ています。Ocelotはその旅における重要な一歩です。エラー訂正に必要なリソースが劇的に削減されたため、将来的にはOcelotアーキテクチャに基づく量子チップは現在のアプローチの5分の1以下のコストで構築可能になるでしょう。具体的には実用的な量子コンピュータ実現までのタイムラインを最大5年早めることができるでしょう。

同様に最近マイクロソフトが発表したMajorana 1に関する予測は次の通りである。

Majorana 1は新しいTopological Coreアーキテクチャを搭載した量子チップです。数十年ではなく、数年以内に意味のある産業規模の問題を解決できる量子コンピュータの実現が期待されています。

しかし、OcelotやMajorana 1のリリースによる量子コンピューティングの発展には課題もある。Ocelotに関するLinkedInの投稿で、Javier Galindo氏はこうコメントしている。

すべての大きな技術的飛躍はチャンスとリスクの両方をもたらします。量子コンピュータも例外ではありません。このようなブレークスルーを祝う一方で、我々はセキュリティへの影響に十分な注意を払っているでしょうか?現在の暗号手法 -RSA、ECC他- は量子攻撃に耐えられません。各業界がこの変化にどのように備えているかを見るのは興味深い。組織はどのように量子コンピューティングの進歩と量子耐性セキュリティの必要性のバランスをとっているのでしょうか?

最後に同社はOcelotがまだプロトタイプ段階であり、量子研究への投資とそのアプローチの改良に取り組むことを約束すると述べている。

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