マイクロソフトはこのほど、最新のAI研究と実験を開発者、スタートアップ、企業に提供するためのハブ「Azure AI Foundry Labs」を立ち上げた。同社は、画期的な研究と実世界でのアプリケーションとのギャップを埋め、開発者が新たな可能性を探求可能にするために、このサービスを開始した。
Azure AI Foundry Labsは、開発者が新しいテクノロジーのプロトタイプを作成できるよう、さまざまな新しいアセットや実験的研究プロジェクトを提供している。注目すべきプロジェクトの中には、高解像度の天気予報と大気汚染予測を提供する大規模大気モデル「Aurora」、原子シミュレーションのためのディープラーニングモデル「MatterSim」、ターゲットに対応した分子生成と精密化のためのGPTライクな化学言語モデルを使用した創薬設計のための生成AIモデル「TamGen」などがある。
Labsには、エージェントが過去の相互作用から学習し、探索効率を動的に向上させられるオープンソースプロジェクト、ExACTも含まれている。Magentic-OneはAutoGenフレームワークをベースに構築されたマルチエージェントシステムで、複数のエージェントをオーケストレーションすることで複雑な問題を解決する。さらに、視覚ベースのモジュールOmniParser v2は、UIを構造化された要素に変換し、エージェントのアクション生成を強化する。
同社はAIと機械学習のブログ記事で次のように書いている。
開発者は、Azure AI Foundry Labsの実験的研究を利用してプロトタイプを作成し、フィードバックを共有することで研究者やエンジニアリングチームと協力し、もっとも有望なテクノロジーの市場投入までの時間を短縮できます。
最後に、Azure AI Foundry Labsに最近追加されたものの1つに、Microsoft Researchが導入したBioEmu-1がある。このディープラーニングモデルは、タンパク質が取り得る構造的コンフォーメーションの範囲を予測するように設計されている。もうひとつはMagmaで、デジタル環境と物理環境を理解し行動するために設計されたマルチモーダル基礎モデルだ。
Satya Nadella氏のLinkedInの投稿で、AI&オートメーションリーダーのJohn C. Hockinson氏は次のようにコメントしている。
AIのイノベーションは急速に進んでおり、Azure AI Foundry Labsは最先端の研究を直接開発者の手に届けています。実験的なモデルやブレークスルーへのアクセスは、より迅速な反復、実世界でのテスト、AI導入の加速を意味します。
また、マイクロソフトMVPのJohn Cook氏がXで次のようにツイートしている。
大きな一歩です!最先端のAI研究に開発者が直接アクセス可能にすることが、真のイノベーションを起こす方法だ。
Azure AI Foundry Labsを通じて開発者のためのAI探索をするハイパースケールクラウド市場は、マイクロソフトだけではない。GoogleやAWSといった競合企業も同様のサービスを開始している。
例えばGoogleにはGoogle Labsがあり、開発者はProject Astra、Project Mariner、NotebookLMといった最新のAIイノベーションにアクセスできる。Project AstraはユニバーサルAIアシスタントの潜在能力を探る研究プロトタイプであり、Project Marinerは特にウェブブラウザを通じた人間とエージェントのインタラクションの未来を調査している。一方、AWSは主に無料で、生成AIアプリケーションを構築するためのローコードツールであるPartyRockを提供している。このツールは新しいアプリ検索機能を備えており、アプリケーションにドキュメント処理を統合できる。