2025年2月20日、GitLabはユーザーエクスペリエンスと機能性向上を目的としたバージョン17.9をリリースした。このリリースの目玉はGitLab Duo Self-Hostedの一般提供開始であり、組織のインフラ内に大規模言語モデル(LLM)をデプロイすることが可能になった。
これによりオンプレミスまたはプライベートクラウドでホストされたモデルを使用してGitLab Duo Code SuggestionsとChatを統合することができ、vLLMまたはAWS Bedrock上のオープンソースのMistralモデル、AWS Bedrock上のClaude 3.5 Sonnet、Azure OpenAI上のOpenAIモデルをサポートする。
自社のインフラやプライベートクラウド環境内にLLMを展開する組織は、独自のコード、知的財産、機密性の高いビジネスデータを外部のAIプロバイダーに公開するリスクを回避できる。金融、医療、政府部門などコンプライアンスや規制要件が厳しい業界は、データを完全に管理しながらAIを活用できるため、この機能の恩恵を受ける。
GitLabの公共部門担当CTO Joel Krooswyk氏は、プラットフォームのソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)版の採用が増加しているものの、規制要件などの要因により多くの組織が依然としてセルフホスティングを選択しているとDevOps.comに記載した。彼はこのセルフホスト型アプローチにより、組織は自身のDevOpsプラットフォームを管理でき、DevOpsチームが組織のデータプライバシー要件や懸念事項を満たすのに役立つと付け加えた。
LLMをオンプレミスまたはプライベートクラウドで実行することで、組織はAIサービスへの外部API呼び出しに関連するレイテンシーを排除できる。これは特にリアルタイムのAIアプリケーションにとって有益だ。さらにデータレジデンシーやコンプライアンス(GDPR、HIPAA、SOC 2など)に関する規制上の懸念は、AI処理が組織の管理された環境内にとどまることでより管理しやすくなる。
AIが支援するコーディングとチャット機能により、企業は開発プロセスにセキュアなコーディング手法を組み込むことができる。LLMは、セキュリティの脆弱性を特定し、ベストプラクティスを提案し、コードがマージされる前に修正を自動化することもできる。これは開発ライフサイクルの早い段階でセキュリティ対策を統合するという、シフトレフトセキュリティの成長トレンドに合致している。
全体としてGitLab 17.9はAI統合、デプロイ効率、開発環境のコラボレーション、プロジェクトメンテナンスに大幅な改善をもたらしている。
もう1つの改善点は複数のGitLab Pagesサイトを並行デプロイする機能で、様々なサイトへの同時アップデートを可能にし、効率を向上させ、デプロイ時間を短縮する。
統合機能も拡張され、Visual Studio CodeやJetBrainsといった一般的な統合開発環境(IDE)内のDuo Chatにプロジェクトファイルを追加するオプションが追加された。これにより開発環境内でより深いコード解釈とダイレクトコラボレーションが可能になり、生産性とチームワーク強化を目指していると思われる。
プロジェクトメンテナンスを最適化するためにGitLab 17.9は古いパイプラインの自動削除機能を導入している。この機能は古くなったパイプラインデータを削除することでストレージを管理し、整理されたプロジェクトリポジトリを維持するのに役立ち、リソースが効率的に使用されることを保証する。
AIは業界全体で支持され続けており、GitLabのこの新しいリリースは開発チームが効率を高めるための新たな方向でLLMを活用する方法において、さらなる進歩を示している。